柴田武は言語学の研究の他に1952年頃から生涯に渡って辞書の編纂にも深く関わった。気になることばがあると直ぐに手近にある紙(食事中であれば箸袋や紙ナフキンに)にメモをとる事が習慣になっていた。
2011年9月に光文社から単行本として発売された三浦しをんの「舟を編む」をお読みになった方もおられると思う。2013年には映画となって公開され、日本の数々の賞を受賞した。この事によって辞書を編纂することが、いかに時間がかかり大変な仕事か広く知られるところとなった。また、「辞書になった男 ケンボー先生と山田先生」は2013年4月にNHKでノンフィクションとして放映された番組であるが、編纂者のこだわりから1冊の辞書(明解国語辞典)を作ってきた2人が決別して「三省堂国語辞典」と「新明解国語辞典」と言う2つの辞書が生まれたいきさつを明らかにしたものだった。柴田 武は1952年頃から明解国語辞典の編纂に参加し、三省堂国語辞書と新明解国語辞書の両方に関わってきた。その間に、類語辞典やなぞなぞ辞典など、幅広い分野の辞典にも携わることになる。